2009/08/20

『お客様は神様です』について




『お客様は神様です』というフレーズを聴くと
歌手の三波春夫さんを思い出す方が多いと思います。


彼にとっての「お客様」とは
「聴衆」「オーディエンス」のことであり
客席にいらっしゃるお客様とステージに立つ演者、という場で生まれた言葉です。


派手な和服姿で「お客様は神様でございます」と舞台上で語る三波を
「商売気たっぷりの成金趣味」と嫌味を言う者も少なくなかった。

しかし、三波自身は

「お客様に自分が引き出され舞台に生かされる。
 お客様の力に自然に神の姿を見るのです。
 お客様は神様のつもりでやらなければ芸ではない」

という趣旨の発言をしている。
単なるリップサービスでも客に媚びている訳でもなく
客前で何かを披露するという芸の本質を語ったものであった。


「金を払った客なんだから丁寧にしろ。言うこときけよ。お客様は神様だろ?」

「お客様は神様ですって言うからって、お客はなにしたって良いっていうんですか?」


ということではないのです。


提供する側は如何に「大衆の心を掴む努力」をしなければいけないか
そして、「お客様をいかに喜ばす事が出来るか」を考え
提供される側は如何にそのパフォーマンスを引き出せるか、という循環が生まれた時
その場は大きなエネルギーのうねりとなり
高揚した空気の磁場に神を感じるのだと思う。




http://ja.wikipedia.org/wiki/三波春夫